2016年5月8日日曜日

添い寝のこと

なんとなく、添い寝について、調べていました。
ふと、末っ子を育てていたとき、完全添い寝だったなと、思い出したからです。


漠然と検索をかけるうちに、イスラエルのキブツという共同体での集団保育についての記事が、目に入りました。

二十世紀初頭に、帝政ロシアでの迫害から逃れたユダヤ人の人々が、パレスチナに渡って、集団生活を始めたことが、キブツの起源だそうです。

このキブツで、生産効率を上げるために、親子を完全分離した育児方法を行ったところ、成長した子どもたちが、ある種の発達障がいのような様相を呈し、問題になったことがあるそうなのです。


愛情の大切さを訴え、愛着障害の悲惨さを物語る7つの実験とエピソード
http://susumu-akashi.com/2015/08/attachment/#5
(いつも空が見えるから・子どもの疲労と発達障がい・睡眠障害のサイト様より引用)


こちらのサイトで紹介されていた、岡田 尊司 {愛着障害 子ども時代を引きずる人々 }(光文社新書) を、私も取り寄せました。該当箇所を引用してみます。



かつて、進歩的で合理的な考え方の人たちが、子育てをもっと効率よく行う方法はないかと考えた。

その結果、一人の母親が一人の子どもの面童をみるのは無駄が多い、という結論に達した。

それよりも、複数の親が時間を分担して、それぞれの子どもに公平に関われば、もっと効率が良い飢えに、親に依存しない、自立した、もっと素晴らしい子どもが育つに違いないということになったのである。

その「画期的」な方法は、さっそく実行に移された。

ところが、何十年も経ってから、そうやって育った子どもたちには重大な欠陥が生じやすいことがわかった。

彼らは親密な関係を持つことに消極的になったり、対人関係が不安定になりやすかったのである。さらにその子どもの世代になると、周囲に無関心で、何事にも無気力な傾向が目立つことに、多くの人が気づいた。

これは、イスラエルの集団農場キブツで行われた、実験的ともいえる試みの教訓である。


効率本位の子育ては、愛着という重要な課題を、すっかり見落としてしまっていたのである。

こうした弊害は、幼い子どもだけでなく、大人になってからも不安定な愛着スタイルとして認められた。ただし、同じようにキブツで育っても、夜は両親と水入らずで過ごしていた場合には、その悪影響はかなり小さくなることも明らかになった。

(中略)


この「実験」の結果は、愛着における不可欠な特性の一つを示している。それは、愛着の対象が、選ばれた特別の存在だということである。これを「愛着の選択性」という。愛着とは、ある特定の存在(愛着対象)に対する、特別な結びつきなのである。愛着対象は、その子にとって、特別な存在であり、余人には代えがたいという性質を持っている。特別な存在との間には、見えない絆が形成されているのである。それを「愛着の絆」と呼ぶ。


(私の引用元はKindle版 なのでページ数が分かりません。No.263あたりの位置です。)


書き写しながら、どうにもやりきれない思いにかられて、なりませんでした。

この事例で、もはや誰かを責めることは、できません。歴史的な背景を多少なりとも知れば、この共同体において、生産性の向上を追求することは、民族としての最優先の課題でもあったのだろうなと想像されるからです。

けれども、歴史のはざまで、生き生きとした意志や感情を伴った人生を失わされてしまった子どもたちの痛み、苦しみは、なかったことにしてはいけないと思いました。



…だいぶ脇道に突進しましたが、添い寝の話に戻ります。

過去のキブツの子どもたちに与えられなかったものの一つが、「添い寝」であったろうと思われます。

以下のサイトでも、キブツの育児について触れられています。

添い寝…Cosleep(世界子育てネットの記事より)
http://www.sweetnet.com/cosleep.htm

こちらの記事では、「乳幼児突然死症候群」と、添い寝との関係についても、紹介されています(以下、一部引用させていただきます)。


 添い寝の調査結果では、添い寝する母子は、非常に高いレベルでお互いに影響し合い、非常に良く似た睡眠と覚醒のパターンを示した。幼児の覚醒欠陥と何軒かのSIDSによる死との関係が疑われており (略)、添い寝が赤ちゃんの呼吸パターンや、中枢神経、心臓血管に何らかの影響を与え、これらを守る役割を果たしているというMcKennaの仮説は、かなり妥当だと思われる。


これ読んで、末っ子の新生児だったころ、よく、息が止まっていたことを思い出しました。
すごく不思議だったのですが、寝ていても、気づくんですね、異変に。

はっと思って、様子をみると、なんだか「くっ……くっ…」という感じで、うまく息ができていない。あわてて抱き上げて、なでたりしていると、普通に寝息をたてはじめます。

そんなことが、何度もありました。

もしも、添い寝していなかったなら……怖いです。


添い寝が万事を解決するわけではないですし、うちはもう、添い寝できるサイズの子どもはいないですけども、我が子を生かすスキルの一つであったのだと、心にとめて置こうと思います。









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