2016年4月12日火曜日

十四回目

近所トラブルの記事を見かけた。

「若夫婦2人で団地住まい。ずっと暮らしたかったけど、周囲の目は冷たく...」
https://gunosy.com/articles/RVI3t


勝手な先入観で仲間はずれ。
後ろ指さされ対象。

こういうの、いまもあるんだなあと。



まだ学生のころ(昭和)、住んでたアパートの近所に「ゴミおばさんズ」がいて、そりゃもう、顔見るたびに、怒鳴られていた。

そのおばさんズは、学生がたくさん住んでいるアパートが、悪の軍団の巣窟に見えていたのだと思う。

実際、ゴミ捨てマナーのよくない学生が数人いて、その後始末を「おばさんズ」がやってくれていたのだから、腹の立つのはわかるけれども、散らかしているのは私ではない。

しかし、「おばさんズ」には、学生の個体の区別はつかないらしく、なんでもかんでも私のせいにされ、罵られた。


いま思うと、他の学生住人達が怒られているのを、一度も見たことがなかった。
皆、「おばさんズ」を避けて、うまいこと無人の時間帯にゴミ出ししていたのだろう。


「一体どーゆーつもりなのさ!? こんな散らかして! 人の迷惑考えな!」
「あのー、そのゴミ、私のじゃないんですけど」
「だから迷惑だって! 何回言ったらわかるんだ!」


話は、まったく通じなかった。

怒鳴られっばなしでムカついたけれども、人のゴミを全部始末してくれている「おばさんズ」が、気の毒にも思えたので、私も一緒に片づけはじめた。

次第にそれが習慣になって、散らかっているのを見つけたら、「おばさんズ」がいなくても、ホウキを持ってきて一人で掃除するようになった。


すると、「おばさんズ」の中で、私のステータスが、悪の軍団から正義の眷族へと変化したらしかった。


おにいちゃん! ほんとに立派だねえ。あれだよ、就職先から、あんたのこと、調査に来たら、ワタシら、いい話ばっかりしておくからね! ほんとにありがとうね!」


当時、私は既に就職していたし、そもそも「おにいちゃん」ではなく、27歳独身女性であったのだが、説明しても、きっと通じないだろうなと思ったので、黙っておいた。



「おばちゃんズ」というのは、他人を、見たいようにしか見ない存在なんだろうと思う。

いまでは私も彼女たちと同世代、もしくは年上になってしまった。
心のなかに、若干の「おばちゃんズ」がきざしているのを感じたときは、よくよく気をつけるようにしている。


上の記事の団地の旧住人たちも、若いころには年かさの「おばちゃんズ」につかまって、散々いじめられていたであろろうに、数十年の時を経て、まるでタイムワープしてきたかのように、「おばちゃんズ」属性を再現してしまっているのが面白い。いや、面白くないか。


子どものいない若い夫婦が「異物」に思えて、そういう仮想敵対反応になってしまうだけで、何かのきっかけで懐に飛び込んでしまえば、案外みなさん情の熱い、仲間意識の強い方々なんだろうと思うけれども、まあ、引っ越したほうがラクだろうとは思う。




















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