2016年6月23日木曜日

小西明日翔「春の呪い」読了



読書日記用のブログも持っているのですが、Kindleで気楽に読んだマンガや雑誌は、ダメ主婦的な気分と脳内でリンクすることが多いので、こっちにメモすることにしました。

今朝読んだマンガ。

小西明日翔「春の呪い: 1」 (ZERO-SUMコミックス)





知らない漫画家さんの作品。

ネットで広告を見て、憂鬱でドロドロしそうなお話だと思ったのに、なんとなく心引かれて試し読みをしたら、先を読まないわけにはいかなくなっちゃいました。


微妙に機能不全な家庭のなかで、居場所を持てずに息苦しく過ごしていた姉妹。

両親は離婚し、奔放な性格だった母親は去り、父親は別の女性と再婚。

別れた母親に似ていたためか、父親に邪険にされつづけていた姉は、最愛の妹と二人で、いつか家を出て暮らす約束をしたことだけを心の支えにして暮らしていました。

ところが妹は、家のしがらみで、半ば強制的に、見知らぬ男性と婚約することに。

遠縁の名家だという相手の家の母親は、できのよくないと言われる姉は最初から眼中になく、従順そうな妹を狙って縁談を持ち込んだのでした。ここでも姉は居場所のない思いをします。

さらに妹の春は、その婚約者に本気で恋をしてしまい、姉と二人で暮らす夢など、どこかへ行ってしまった様子。姉…主人公の夏美は、それても妹を恨むことはありません。自分よりも春の存在が大切であり、生きる支えだったからなのですが…


その春が、亡くなってしまいます。
夏美だけが聞き取った最後の言葉は、姉である自分に向けたものではなく、婚約者の名前。
妹の存在だけが生きる意味であった夏美にとって、なにもかもがあまりにも残酷な成り行きでした。

すぐにも春のあとを追うつもりで過ごし、三秒ごとに死ぬことを意識する夏美。

そんな夏美に、春の婚約者だった柊冬吾が、あろうことか、恋人としてつきあうことを提案してきます。

夏美にとっては、とても受け入れられる話ではなかったのですが、最愛の春とつながる人物である柊冬吾とのつながりを切ってしまうこともできず、春との思い出の地をめぐることを条件に、つきあいを承諾。

自分を慕っていた婚約者が亡くなってすぐ、その姉とつきあおうという柊冬吾は、夏美にはとんでもない鬼畜な人物のように思えていましたが、次第にそうではないことが分かってきます。

家のなかに自分の居場所がなく、愛されてこなかった夏美と同じように、柊冬吾も、家族の意向に支配される人生のなかで、自分の生きる意味や目的、喜びを全く持てないまま暮らしていました。

彼は、お見合いの場で出会った夏美のなかに、自分と同じ闇や虚無があることを感じ、婚約者の春よりも、夏美のほうに心を寄せてしまう自分を、ずっともてあましていたのでした。

春が亡くなり、夏美が生きる力を失いかねないことを察知した冬吾は、生まれてはじめて、自分の意志で夏美とつきあうことを決めたのでしたが、春に対する深い罪悪感も絡んで、お互いの思いがすれ違うまま、春との思い出の地を巡りつくしてしまい、もともと不自然だったつきあいを続ける理由を、お互いが失ってしまいます。


……という具合に、あらすじだけ書くと、陰惨で救いのなさげなお話のようになってしまうのですが、夏美という人が、深く傷ついた心を持ちながらも、バイタリティあふれるおもしろいボケキャラであるために、暗く沈むような読後感がありません。また、柊冬吾という男性も、暗いというよりも、天然で世の中からズレたようなところがあり、なおかつ、切れ味のいいツッコミを連射するデキる男でもあるために、二人そろうと非常にいいコンビになっています。


二人がどのように運命を切り開いていくのか、続きが待ち遠しい作品です。


















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