2016年7月30日土曜日

福祉が税金の無駄という考え方



私たちの存在は「無駄」なのか?










相模原の障害者施設殺傷事件


あの報道を見て、ネットでのさまざまな言論、文章、つぶやきを見続けていて、すっかり元気を失っています。



私は重度知的障害者の親です。


あの犯人の「手紙」は、我が子の生存をダイレクトに否定するものでしたから、非常に恐ろしく、到底許せるものではありません。


でも、それよりも、さらに怖いと感じるのは、


「あんな殺戮は許せないけど、でも一理あるのではないか?」


という意見が、さざ波のように、世の中に広がりつつあると、感じることです。


障害者福祉の介護の現場が、低賃金であり、過酷であること。

福祉にかかる予算が膨大であること。

家族の負担が多大であること。


そういった現状を踏まえて、決して悪意ではない、露悪的ですらない、むしろ善意とか良識とかに属するという前提の上で、「安楽死」という言葉を、素朴に提案してみる方々が、少なからず存在しています。


「税金の無駄だから、安楽死も視野にいれてもいいのではないか」、と。


もちろん、考えること、意見を言葉にして出すことは、自由です。


けれども、ネット上などで、繰り返し、繰り返し、「知的障害者は税金を使うだけの存在」という意味合いのことが、言葉としてつぶやかれ、

「それはそうかも知れない」
「そこは一理あると思う」

という、何気ない同意を引き出すうちに、とても見えにくいところで、気持ちの悪いひずみが、常識のような顔をして、居場所を確保してしまうのではないか。そんな気がしてならないのです。



障害者のための福祉予算は無駄だから、障害者はいなくなればいい…もしそれが実現してしまったとすると、次にくるのは、なんでしょう。

老人医療や介護費用は無駄だから、老人は……
難病患者の補助も無駄だから、高額医療を必要とする病人は……





そもそも、税金が障害者に使われずに、何に使われれば、みなさん納得されるんでしょうか。

減税が期待されているのかな。

それもなんだか、よくわからないんですよね。(´・ω・`)



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《付記 2017/03/02》

このテーマについて、より視野の広い意見が生まれつつあり、とてもうれしく思っています。

障害者福祉は税金の無駄」という意見はなぜ生まれるのか、経済学の視点から考える
(発達ナビ…経済学者である、障害児のお父さんの記事)

https://h-navi.jp/column/article/35025791


ものすごく、納得するご意見でした。


福祉に税金を使うと経済的に無駄になるどころか得をする (2015年 今年のKaienの就職支援実績・社会的価値など計算しました)株式会社Kaien


http://corp.kaien-lab.com/staffblog/2015-kaien


株式会社Kaienさんは、発達障害(広汎性発達障害、ADHD、自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群等)の方の就労支援を行う会社だそうです。すばらしい!
















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