2016年12月18日日曜日

【漫画読んだ日記】大海とむ 「魔女の媚薬」(1)


少女漫画…ではないですよね。

成人向けの内容だと思います。




大海とむ 「魔女の媚薬(1) 」(フラワーコミックスα) 


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主人公の望月香子は、白魔女を祖母に、黒魔女にして魔女王を母親に持つという、魔法の世界的には超サラブレッドな出自の女性ですが、そのような生まれであることを、本人は全く知らされていませんでした。


母親は失踪、祖母に育てられて成人しましたが、その祖母を亡くしてからは、一人でハープのお店を経営しています。



背が高くて、色気のない純真素朴な、よく言えば森ガールなタイプだったのに、とある事情から、無尽蔵にセクシャルな気配を垂れ流す、とんでもなく妖艶な存在になってしまいます。


家にやたらとトカゲや虫が集まってきたり、配達のおにーちゃんたちが、無我夢中にナンパしてきたり。


とまどっているところに、「母の遣い」だといって、異様に顔立ちのよい、黒ずくめの男性がやってくるのですが・・・・・・。


「あなたの母上は私の上司であり、全世界に会員を持つ"黒き魔女協会"の長。比類なき力ゆえに、魔女王とも称される、偉大な黒魔女です」



会ったこともない母親について、いきなりこんな、胡散臭いことを言われた香子さんの反応は、





ですよねえ。( ̄。 ̄;)


ところが、香子さんの持つ黒魔女の力が、制御不能のまま垂れ流されてしまうため、周囲のあらゆる生き物を魅了しはじめ、まともに生活することすらできなくなる始末。


その惨状を、黒づくめの男性、黒木魔女協会という怪しい組織の「騎士」を名乗る、日比木要がコントロールし、香子さんを保護することになるのですが、香子さんの魅惑(チャーム)の力が強大すぎて、お互いに振り回されまくることに。


一巻目は、そんな感じで終わりますが、この後お話が進むにつれて、魔女協会の規模の大きさとか、まるで中世暗黒時代みたいな組織の性格とか、聞いてびっくり、香子さんの母親である魔女王のトンデモな真の目的とかが、どんどん明らかになっていって、そして、すとーーーーんとラストを迎えます。




母と娘がライバル関係という、ちょっとエレクトラコンプレックス的な緊張した構図でお話が進んでいくので、途中、読んでいて、結構ストレスがあります。


最愛の彼氏が現時点で母親のモノというのは、ラブストーリーに採用されるものとしては、あまり気持ちのいい関係性ではありません。ややこしいですし、簡単な勝ち負けの問題にもなりません。


母親の存在を乗り越えて、彼にとっての一番の存在になったとして、その立場は、どういったものであるのか。

所詮、母親の代わりでしかないのかどうか。

娘視点で考えると、かなり気持ち悪く、悩ましいところではあります。



似たような設定の漫画があることを、思い出しました。


佐藤史生 「緑柱庭園」 (Amazonで見る)



(画像引用元 https://www.amazon.co.jp/)


1988年に発売された作品集、「 羅陵王 」に収録されていた、短編です。

現在は絶版のようです。

佐藤史生氏の作品が大好きでしたので、当然私も持っていましたが、東日本大震災のあと、おそらく処分してしまったはず・・・・(´;ω;`)。




Kindle版では、「この貧しき地上に」に収録されているそうです。


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欲しいな・・・・。
買おうかな、Kindle版。
暗記するほど読んだ作品ばかりですけど、手元にないというのは、ほんとうにさみしいものです。(涙)


それはともかく。(´・ω・`)


「緑柱庭園」は、女王に寵愛される臣下の青年が、王女と恋仲になるのですが、「魔女の媚薬」とは違って、こちらは救いのない悲劇で終わります。

青年は王女を愛しますが、女王への思いはそれと別格で、唯一無二の存在でありたいと願っているからです。けれども女王にとって、青年は寵愛する青年たちの一人にすぎず、そのことに絶望した青年は、女王を殺害し、王女をも発狂させ、幽閉します。その後、青年は王位を簒奪して自らが王となり、正気を失った王女を愛でつつも、孤独に老いていきます。

この物語では、王女は、母親(ライバル)である女王の代わりにはなれず、愛する青年の唯一の恋人ともなれず、青年にとって、深い罪悪感と孤独の象徴であり、心を破壊された上で無邪気な存在として生かされ、かすかな癒やしをもたらすだけのペット的な存在にしか、なり得ませんでした。


つまり、王女の全敗です。(´・ω・`)



それとは対照的に、「魔女の媚薬」では、主人公の香子が、母親である魔女王とは比べものにならないほど強大な存在であることが、のちに分かります。

なので、「緑柱庭園」とはまるで違った終わり方となるのですが・・・。


うーん、ちょっとすっきりしなかったかも。


再読して、考えてみます。
















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