椎名軽穂 「君に届け」(1) Amazon Kindle版
だいぶ前から、書店で平積みになっているので気になっていました。
Kindle版の無料試し読みを利用して、読んでみて・・・・・ハマりました。
胸がキュンキュンいいます。
そして、ヒロインの黒沼爽子の置かれている状況の残酷さに、イラッとします。
ただ表情が暗いから、ストレートのロングヘアだから、人付き合いが苦手だから、みんなと言動がズレているから……
それだけのことで、クラスの全員からソフトに無視されたり、露骨に避けられたり、無責任なイジリの対象になったり。
人気者の風早君に親切にされたりしているのを見た子たちから、誹謗中傷されたりもします。
そんなことをされても、他人の悪意ではなく、悪意の裏側にある痛みや悲しみに気づいて、理解しようとします。どんなにさみしくても、つらい気持ちになっても、人を恨むということをしない人です。
そして、いつか友だちができる日を夢見て、孤独な自分を変える努力を、黙々と続けています。
とんでもない強さです。
彼女でなければ、不登校か、いまどきでしたら、最悪自殺してもおかしくなかったかもしれません。
学校での孤立ということで、新海誠作、小説「言の葉の庭」の雪野を思い出しました。
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(映画のほう、早く見たいけど、なかなか見れずにいますorz)
雪野は教師でしたが、悪意のある生徒による度の過ぎた嫌がらせや、同僚の教師などの無理解から、心身の健康を壊されてしまい、出勤できなくなりました。
物語では、「いじめ」られる側が主人公になることが多いのに、現実では、その立場はマイノリティです。マイノリティなのに、読者や視聴者は、「いじめ」られる側に深く共感して、「いじめ」る側を憎みます。
不思議ですよね。
現実には、「いじめ」られている人に共感して、「いじめ」る側と戦おうとする人なんて、滅多にいないのに。
なにはともあれ、最強の孤立者である黒沼爽子は、彼女の真価をいち早く見いだすことのできる風早君と出会います。
彼ら二人だけでなく、出てくる人々の誰もが、自分の気持ちを相手に「届け」ようとして、なかなか叶わない物語の始まりです。
(読書日記・マンガ)
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